かわのほとりのオープンカフェ りにゅーある | とってもきまぐれなオリジナル漫画。とっても素敵な不定期更新(^-^;

初めて手を握った日 その四

入院中に整形を一度施し、退院したのは数か月後のことであった。

退院一週間を過ぎた頃に自宅に電話を入れてみた。

会ってくれると言ってきた。

自宅は車で10分ほどの近所である。

幸い親戚は半径10Km以内に何人もいたのだ。

扉を開けるとすぐそこのキッチンに彼女は座っていた。

髪の毛はまだ伸びておらず、ボーイッシュな感じであった。

やはり顔は多少の違和感は隠せなかったが、真正面を向いて
私の目を見て話してくれた。

「こんなんなっちゃった」

「あと何度かの整形とリハビリでだんだん良くなるみたいだけれど」

寂しげに呟いた。

「もう帰ってきてから外にも全然出ようとしないの」

母親がそう言っていつものなみなみと注いだコーヒーを手渡して
くれた。

「ええ~、そりぁダメだよ」

「いずれ元に戻るんだから今からそれもリハビリのひとつだよ」

「そうだ、今から食事に出よう」

思いつくままそんなことを言ってしまった。

最初は迷っていたが、二人で食事に出る事となった。

挿絵2

丁度夕食の時間。

車を走らせ国道沿いの「肉の万世」へ。

病気の事、これからの事、恐らくいろいろ話はしたが覚えてはいない。

食事中彼女がポツリと呟いた。

「もういいの、私は年の離れた子持ちのおじさんでも結婚できれば」

「何言ってんだよ、彼氏は?」

思わず口に出てしまった。

「もう会わないって言ったの、そしたらもう来なくなったわ。」

別れたという事なのか。

「そうだ、今度家族で旅行に行こうよ、企画するけどいいかな?」

「ええ~、いつ頃?」

「そうだな、その髪の毛が前のように伸びた頃。」

「そうね、いいかもね。」

半分冗談で言ったこの企画が数か月後に実現するのである。


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初めて手を握った日 その三

ほどなく入院となり、私はお見舞いにでかけた。

その後会ってくれるかどうかもわからない状況。

一度手術前に会って励ましたかったのだ。

病室の前に母親の姿が。

「えっ、お見舞いに来てくれたの?」

「今ねミホの彼氏が来てるのよ」

「彼氏・・・」

当然と言えば当然。

もう二十歳を過ぎた立派な女性なのだ。

病室の扉から内側が少し覗けた。

窓越しに二人が寄り添って話をしている。

カーテンが風に揺れて彼女の髪の毛や身体に巻き付き、まるで
ウエディングドレスのように見えた。

なぜか私は少し動揺していた。

「あっ、俺がいたら邪魔になるから。」

「これだけ渡してくれる?」

持って来た花を母親に渡してその場を逃げるように去った。

帰りの道すがら言いようのない切ない気持ちに襲われた。

この気持ちは一体なんなのだろう。

しかし、自ら確信に踏み込もうとは思わなかった。

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その後すぐさま手術が行われた。

手術が終わり状況が見えてきた。

話によると全てとりきれなかったとのこと。

後遺症が残り、顔の半分が引きつった状態であるらしい。

そしてやはり誰とも会いたくはないと言っている。

今は仕方がない、無理矢理お見舞いに行ってもかえって迷惑だと
思った私は退院する日を待った。


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初めて手を握った日 その2

検査結果がなんとなく気になっていた私は、再び彼女の家へ
出向いていた。

いつものようにいつものコーヒーカップにインスタントコーヒーが
なみなみ注がれて出てきた。

一言も話をしていないが、目的は悟られていた。

「結果出たんだけどね・・・」

「あ・・出たの?」

「やっぱり手術することになったの」

「えっ、手術?」

「ここのところに腫瘍ができててね」

と言って耳の後ろを指さした。

「それが神経を圧迫してるんだって、ここは神経が沢山通っていて
手術も難しいみたい」

「神経に傷がつくと顔が変形しちゃうんだって」

「でもそれは整形でなんとでもなるみたいよ」

と彼女の母親が言った。

「うん、大丈夫だよ、きっと成功するよ」

そんな会話の後、どれほど彼女の家に居たのか何を話したのかは
記憶にない。

臼曇りだった心に雨雲が遠方から流れ込んできた。

そんな気持ちを抱きつつ私は帰路に就いた。


雨雲


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初めて手を握った日 その一

なんの用事であったか忘れてしまった。

その日休日だった私は従姉の家にいた。

四人兄弟の下から二番目。

通称ミホちゃん。

彼女と私は一歳違い。

彼女の方が年上であった。

とにかく兄妹の中では一番仲が良かった。

イラスト1.

日常の雑談の後、おもむろに

「私最近ね、真っ直ぐ歩けないの」

彼女がぽつりとつぶやいた。

すかさず彼女の母親が

「今度病院に検査に行くんだけどね、大したことないと思うけど」

そうなんだ。

何だろうと思いつつも別段大したことはないのだろうと、何の確証
もなかったが、その時はそう思えたのである。

そして数週間後、とてつもない事実を告げられるのである。


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半分のスイカ 後編

半分のスイカ1-1

Read Moreよりお楽しみください。

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