かわのほとりのオープンカフェ りにゅーある | とってもきまぐれなオリジナル漫画。とっても素敵な不定期更新(^-^;

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Posted by okokkeitarou on  | 

初めて手を握った日 その五

当家と一番付き合いのある親戚の協力のもと、予定や計画を
練った。

極力疲れないよう近場で楽しめる場所を選んだ。

参加者は三家族、総勢10名。

候補地はいくつかあったが、土地勘のあるつくば方面がいいだろ
うということになった。

夕食に誘ってから数か月が過ぎていた。

カジュアルな服装で現れた彼女は整形とリハビりでほぼ元通りの
表情を取り戻していた。

短かった髪の毛も伸びて、そこに違和感はもうなかった。

終始笑顔で周囲をほっとさせていた。

筑波山周辺を観光し、山腹にある旅館へ。

発案者なので司会を私が務めた。

余興も何もないのでビンゴを用意してあった。

早速夕食中にゲーム開始である。

そしてなんと一等賞に彼女が当選!

賞品は自分がロジャースで購入したチープなインスタントカメラである。

それでもとても喜んでくれた。

この時の笑顔は一生忘れることはできないだろう。

周りの人間もこの偶然におどろいていた。

「よかった、これだけでも来た価値はある」

その後も楽しい宴は続いた。

もう何も恐れることはないのだと思えたこの日。

翌日は筑波山神社でお参りした後にロープウェイで山頂へ。

その五

季節は初秋、少し色付いた楓がそよそよと風になびいている。

山頂からは関東平野が見下ろせた。

彼女は早速昨晩当たったカメラを持ち出し、撮影に勤しんでいた。

しかし、こんな日々が続くと思っていたのは自分だけであったのだ。


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初めて手を握った日 その四

入院中に整形を一度施し、退院したのは数か月後のことであった。

退院一週間を過ぎた頃に自宅に電話を入れてみた。

会ってくれると言ってきた。

自宅は車で10分ほどの近所である。

幸い親戚は半径10Km以内に何人もいたのだ。

扉を開けるとすぐそこのキッチンに彼女は座っていた。

髪の毛はまだ伸びておらず、ボーイッシュな感じであった。

やはり顔は多少の違和感は隠せなかったが、真正面を向いて
私の目を見て話してくれた。

「こんなんなっちゃった」

「あと何度かの整形とリハビリでだんだん良くなるみたいだけれど」

寂しげに呟いた。

「もう帰ってきてから外にも全然出ようとしないの」

母親がそう言っていつものなみなみと注いだコーヒーを手渡して
くれた。

「ええ~、そりぁダメだよ」

「いずれ元に戻るんだから今からそれもリハビリのひとつだよ」

「そうだ、今から食事に出よう」

思いつくままそんなことを言ってしまった。

最初は迷っていたが、二人で食事に出る事となった。

挿絵2

丁度夕食の時間。

車を走らせ国道沿いの「肉の万世」へ。

病気の事、これからの事、恐らくいろいろ話はしたが覚えてはいない。

食事中彼女がポツリと呟いた。

「もういいの、私は年の離れた子持ちのおじさんでも結婚できれば」

「何言ってんだよ、彼氏は?」

思わず口に出てしまった。

「もう会わないって言ったの、そしたらもう来なくなったわ。」

別れたという事なのか。

「そうだ、今度家族で旅行に行こうよ、企画するけどいいかな?」

「ええ~、いつ頃?」

「そうだな、その髪の毛が前のように伸びた頃。」

「そうね、いいかもね。」

半分冗談で言ったこの企画が数か月後に実現するのである。


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初めて手を握った日 その三

ほどなく入院となり、私はお見舞いにでかけた。

その後会ってくれるかどうかもわからない状況。

一度手術前に会って励ましたかったのだ。

病室の前に母親の姿が。

「えっ、お見舞いに来てくれたの?」

「今ねミホの彼氏が来てるのよ」

「彼氏・・・」

当然と言えば当然。

もう二十歳を過ぎた立派な女性なのだ。

病室の扉から内側が少し覗けた。

窓越しに二人が寄り添って話をしている。

カーテンが風に揺れて彼女の髪の毛や身体に巻き付き、まるで
ウエディングドレスのように見えた。

なぜか私は少し動揺していた。

「あっ、俺がいたら邪魔になるから。」

「これだけ渡してくれる?」

持って来た花を母親に渡してその場を逃げるように去った。

帰りの道すがら言いようのない切ない気持ちに襲われた。

この気持ちは一体なんなのだろう。

しかし、自ら確信に踏み込もうとは思わなかった。

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その後すぐさま手術が行われた。

手術が終わり状況が見えてきた。

話によると全てとりきれなかったとのこと。

後遺症が残り、顔の半分が引きつった状態であるらしい。

そしてやはり誰とも会いたくはないと言っている。

今は仕方がない、無理矢理お見舞いに行ってもかえって迷惑だと
思った私は退院する日を待った。


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Category : 未分類
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初めて手を握った日 その2

検査結果がなんとなく気になっていた私は、再び彼女の家へ
出向いていた。

いつものようにいつものコーヒーカップにインスタントコーヒーが
なみなみ注がれて出てきた。

一言も話をしていないが、目的は悟られていた。

「結果出たんだけどね・・・」

「あ・・出たの?」

「やっぱり手術することになったの」

「えっ、手術?」

「ここのところに腫瘍ができててね」

と言って耳の後ろを指さした。

「それが神経を圧迫してるんだって、ここは神経が沢山通っていて
手術も難しいみたい」

「神経に傷がつくと顔が変形しちゃうんだって」

「でもそれは整形でなんとでもなるみたいよ」

と彼女の母親が言った。

「うん、大丈夫だよ、きっと成功するよ」

そんな会話の後、どれほど彼女の家に居たのか何を話したのかは
記憶にない。

臼曇りだった心に雨雲が遠方から流れ込んできた。

そんな気持ちを抱きつつ私は帰路に就いた。


雨雲


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初めて手を握った日 その一

なんの用事であったか忘れてしまった。

その日休日だった私は従姉の家にいた。

四人兄弟の下から二番目。

通称ミホちゃん。

彼女と私は一歳違い。

彼女の方が年上であった。

とにかく兄妹の中では一番仲が良かった。

イラスト1.

日常の雑談の後、おもむろに

「私最近ね、真っ直ぐ歩けないの」

彼女がぽつりとつぶやいた。

すかさず彼女の母親が

「今度病院に検査に行くんだけどね、大したことないと思うけど」

そうなんだ。

何だろうと思いつつも別段大したことはないのだろうと、何の確証
もなかったが、その時はそう思えたのである。

そして数週間後、とてつもない事実を告げられるのである。


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